
アフリカ・ルワンダの小さな村に、ある一人の少年がいました。
「残された兄弟と母親の力になりたい」と意気込んだ少年は勉学に励み、数々の困難を乗り越えて小学校の教師になります。
今回は、その本人であるフランソワさんの人生のストーリーをご紹介します。
家に電気がなかった少年が、どのように学び、大学を卒業し、教育の道を切り拓いていったのか。彼の物語には、”挫折”と”学び”と”希望”が詰まっていました。
幼少期と勉強との出会い
フランソワさんは6歳で小学校に入学。
勉強が好きで、特に英語や社会科(歴史・地理)に強い関心を持ち、本があるとどこでも読むような少年でした。
ただし家には電気がなかったため、帰宅後の勉強は、家の外に出て、月明かりのもとで行っていました。ノートを手に外に出て、月明かりを頼りに勉強を続けていたのです。
「勉強はすぐに結果が出るものではない。フルーツに例えると、勉強は苦い時期(苦しみや困難)であり、成果は食べごろの収穫時期(完熟しており甘みがいっぱい)である」
そう語る彼は、毎日の小さな努力を小さい頃から積み重ねてきました。
家族を支えた母親の存在
フランソワさんが16歳のとき、最愛の父を亡くします。
学費や教材、制服などを用意してくれていた父の死は、彼にとって人生最大の悲しみでした。
しかしその時、彼の母親の存在は、家族を支える唯一の「ソルジャー(戦士)」であり、「ヒーロー」になりました。 「大丈夫、私があなたを支える」
母親はフランソワさんにそう声をかけて、新しいカバンと制服を買い与え、勉強を続ける勇気を与えたのです。
フランソワさんは週末には母と一緒に畑で働き、生活を支えながらも、勉学を諦めることは決してありませんでした。
教師を目指す。
その後中学・高校でも社会科に強い興味を持ち続け、TTC(教員養成校)へ進学。2018年には高校課程を修了し、2019年の国家教員試験に96点で合格。小学校の社会科教師として教壇に立ち始めます。
さらに2021年には大学へ進学し、自分の将来と家族のためにさらなる学びを続けました。
フランソワさんにとっての”学び”の意味
学びとは物理的な「もの」ではなく、目に見えない「プロセス」である。今日得た知識が、一晩で明日の人生を変えることはないかもしれない。でも、いつか必ず力になり、結果として現れる。
学び続けることで、人生は必ず変わる。 彼は学ぶことへの可能性を誰よりも強く信じています。
未来への展望
現在は小学校で教壇に立ちながら、さらなる仕事のチャンスを探しています。
将来は中学校の教師として、より多くの生徒たちに学ぶ楽しさを伝えていきたいと語ります。
フランソワさんは若い時の出来事がきっかけで、「学ぶこと」への可能性を強く信じるようになり、現在ルワンダの小学校の先生として勤務されています。
何かを信じ抜いたり、新しい未知の世界に飛び込んで見ることは、もしかしたら勇気のいることかもしれません。彼の人生の挫折や苦悩から、自分の可能性を切り開いていったリアルなエピソードはこちらからご覧ください。
【#2】HAKIZIMANA François 〜ルワンダ(アフリカ)の小学校の教員〜
「On Your Way」は、 世界中の夢や目標に向かって挑戦する人々にインタビューをしています。それぞれの人生に違った道があり、違った人生があります。私たちが紹介する一つひとつの物語が、あなたの次の一歩を踏み出す後押しになりますように。
